牽引について

腰部脊柱管狭窄症の治療は長引くことがほとんどであり、短期間で終わるということはほとんどありません。通常は数ヶ月、長い人であれば数年以上かかることがあります。
また、このことでなかなか治療に浸ることができない場合が多くあります。特に現役で仕事をしており、なかなか仕事を離れることができない人などです。
また、腰部脊柱管狭窄症の治療方法としては、保存療法による薬物療法やブロック注射などがありますが、どれも一時的なものに過ぎません。
また病院によっては、腰部脊柱管狭窄症に牽引を勧めるところが多くありますが、腰部脊柱管狭窄症には不適切と考える医師や施術家が多くいます。現実に牽引をしたことにより、腰部脊柱管狭窄症が悪化してしまったという例は少なくありません。
ですので、もし、腰部脊柱管狭窄症の人が牽引を受ける際は、状態を見ながら慎重に行うことが大切です。牽引とは、物理的に荷重をかけて引っ張り上げることにより、骨と骨の間を広げ、患部のストレスを緩和するものです。
体重によってかける荷重が変わってきますが、通常は20キロ以下程度です。これ以上かけると強すぎてしまい、かえって腰部脊柱管狭窄症の症状を悪化させてしまうことがあります。
また、牽引には筋肉のストレッチ効果などもあります。つまり、血行を改善し、患部の治癒力を高めることができます。腰部脊柱管狭窄症で問題となるのが、脊柱管が狭くなってしまい、神経を圧迫することです。この状態を改善しなければ状態を変化させることはできません。
また、悪化を防ぐことが必要ですが、このためには腰まわりの筋力アップが必須です。痛みがある場合は控える必要がありますが、痛みが落ち着いているのであれば、できるだけ筋力トレーニングやウォーキングなどを取り入れ、筋力強化を図ることが基本です。
毎日歩くことができた歩数や、どのようなトレーニングを行ったかなどをしっかりと記録しておくのが理想です。これによって、とても大きな治療材料となります。牽引にはエビデンスもありません。
つまり昔ながらの効果の高い方法であると言えますが、効果があるかどうかを測る方法もありません。腰部脊柱管狭窄症患者さんのほとんどは、牽引をしたことによって症状が悪化していますので、正直なところあまりお薦めできない方法です。